季と和の発酵 学び帖 第4回「味噌の天地返しはした方がいい?」
まもなく夏の土用を迎えます。
この時期に味噌の「天地返し」を行う方も多いかと思います。
一方で、今年初めて味噌を仕込んだ方は
「天地返しは必要?」「天地返しの目的は?」「天地返しをしないとどうなるの?」
と天地返しについて、色々と疑問をお持ちかもしれません。
季と和の発酵 学び帖
第4回では、味噌の天地返しについて、
発酵講師の見解、微生物の働きからの考察、講師は実際にどうしているか、などなどご紹介したいと思います。
味噌の天地返しとは
天地返しとは仕込み味噌の上下を返すこと。仕込んだ味噌を一度取り出し、上下を返してまた詰め直します。
味噌の天地返しの目的は?
天地返しには主に2つの目的があると言われています。
- 味噌の発酵・熟成のムラをなくすこと。
- 空気を送り込み、発酵菌の働きを活性化させること。
味噌の天地返し、した方がいい?
天地返しの2つの目的を踏まえて、ご自宅で仕込んだ手作り味噌の天地返しは必要か?それとも天地返しはしなくてもいいのか?
ズバリお答えすると、天地返しはしても、しなくても、どちらでもOKです。
ちなみに発酵講師である私は、毎年、味噌の天地返しをしておりません。
天地返しをしていない理由は、
家庭で仕込む味噌の量では発酵の進み具合にさほどのムラはできないためです。
味噌蔵さんなどで、何百kg、何トンと仕込むような大きな樽の場合は、当然容器の上と下、外側と内側で発酵の進み具合にムラが生じる場合があります。そういった場合は天地返しを行う必要があります。
一方で、私たちが家庭で仕込む味噌は、一つの容器に数kg〜20kg程度の場合が多いかと思います。
家庭で仕込む量の場合、樽の中で、そこまで大きな発酵ムラにはなりません。
そのため、天地返しはしなくてもよいのです。
また、私が天地返しをしない理由がもう一つ。
天地返しをする夏の土用の時期は、じめじめと蒸し暑く、カビなどの腐敗菌も活発な時期です。
この時期に樽を開け、わざわざ味噌を出して空気に触れさせることは、カビが入り込むリスクも伴います。
そして何より、綺麗に詰め直すのはなかなか骨が折れます。
手作りの味噌に腐敗菌やカビを寄せ付けないためには、空気を遮断することがとっても重要なポイントになります。
空気をしっかり抜いて綺麗に詰め直す作業はなかなか根気が必要ですので、年に一回、仕込みの時だけで十分かなというのが個人的な感覚です。
天地返しは意味がない?
それでは、家庭で仕込んだ味噌では天地返しが全く無意味なのか?と聞かれると、そうとも言えません。
天地返しの目的の2つ目、「空気を送り込んで発酵菌の働きを活性化する」というもの。これはあながち間違いや迷信ではなく、実は理にかなっていることと考えられます。
というのも、味噌において活躍する発酵菌である酵母菌は、一般的に空気がある環境で活発に増殖します。
夏は酵母菌が活躍し、味噌における様々な風味や香りを作ってくれる時期です。
そのため、夏の土用の時期に、天地返しをして空気を送り込む、というのは酵母菌の性質を考えると理にかなっていると言えるかと思います。
手作り味噌の天地返しはしてもしなくてもOK
以上より、手作りの味噌は天地返しをしてもしなくても、どちらでもOKと考えています。
やってみたいかどうか、という自分の気持ちで決めた答えが、ベストアンサーだと思います。
いかがでしたでしょうか。
天地返しの疑問は解消されましたか?
冬に仕込んだ熟成味噌では完成まであと4~6ヶ月ほど、お味噌の完成が楽しみですね。
天地返しの他にも、お味噌に関するご質問があれば、季と和の講座にご参加いただいた方もそうでない方も、ご相談をお受けしておりますので、お気軽にご連絡いただければと思います。
季と和 石井理子
季と和の学び帖とは
発酵のこと、食のこと、体のこと、
ちょっとした学びの機会をお届けする季と和の新しいコンテンツです。
皆さんが暮らしを楽しむささやかなきっかけをお届けしたいと思います。
